教育訓練給付制度は、働く人々がキャリアアップやスキル向上を目的に教育訓練を受ける際に、その費用の一部を支援する国の制度です。特に自己負担が大きい学費や受講料の負担軽減を図り、職業能力の向上を支援するものです。以下では、制度の対象者、給付条件、支給される金額の計算方法、金額の上限、申請方法と手続きについて詳しく説明します。
1. 対象者
教育訓練給付制度の対象者は、主に雇用保険に加入している者が対象となりますが、次の2つの区分があります。
一般教育訓練給付金
現在働いている、または退職してから1年以内の人が対象です。雇用保険の被保険者として過去2年以上(初回の場合は1年以上)加入している必要があります。専門実践教育訓練給付金
高度な資格取得や専門スキルを身につけるための教育訓練を受ける際に利用できる給付金で、雇用保険の被保険者として通算3年以上(初回の場合は2年以上)加入している人が対象です。
2. 給付の条件
教育訓練給付制度を利用するには、以下のような条件があります。
- 対象となる教育訓練は、厚生労働大臣が指定するものでなければなりません。これには、専門学校や大学の講座、通信教育、資格取得講座などが含まれます。
- 受講終了後に、定められた期間内に申請を行うことが必要です。
- 雇用保険に一定期間加入していることが必要です。
3. 金額の計算方法
教育訓練給付金として支給される金額は、実際に支払った受講料や教材費などに基づいて算出されます。
一般教育訓練給付金
支給額は、実際に支払った教育訓練費の20%(上限10万円)です。ただし、4,000円以上の支出がある場合にのみ給付金が支給されます。専門実践教育訓練給付金
支給額は、支払った教育訓練費の50%(年間上限40万円)です。さらに、資格取得や就職に成功した場合、追加で支払った費用の20%(上限56万円)が給付されます。最大で3年間まで受給可能です。
4. 金額の上限
給付額にはそれぞれの制度に応じて上限があります。
- 一般教育訓練給付金:年間の上限は10万円
- 専門実践教育訓練給付金:年間上限40万円、総額で最大112万円(資格取得・就職成功時)
5. 申請方法と手続き
教育訓練給付制度を利用するためには、以下の手順で申請を行います。
教育訓練の選択
まず、厚生労働大臣が指定する教育訓練の中から、自身に合ったコースやプログラムを選びます。訓練先に確認の上で申し込みを行い、受講開始前に必要な書類を整えます。申請書類の準備
受講後、訓練機関からの領収書や修了証明書などの必要書類を揃え、申請書に添付します。申請書はハローワークで配布されているか、オンラインで入手可能です。申請の提出
受講終了日の翌日から起算して1か月以内に、管轄のハローワークに申請を行います。申請内容が確認され次第、給付金が支給されます。
まとめ
教育訓練給付制度は、働きながらスキルアップを図りたい人にとって非常に有益な支援策です。受講費用の一部を国が負担してくれるため、経済的な負担を減らしながらキャリアアップや資格取得を目指せます。特に長期的な専門教育を受ける際には、支給される金額が大きいため、うまく活用することが重要です。